梅部

松本 清良

梅部部長 Interview

まずは簡単に自己紹介をお願いします。

2019年に東洋に入社しました。もともと梅の製造を行う会社で働いていたこともあり、梅部に配属され、2023年に梅部部長になりました。

梅部の事業内容について教えてください。

文字通り、梅干しの製造・販売です。現在は梅干しを主としていますが、梅酒やその他梅製品についても準備のできたものから製造していっております。ただの宣伝に留まらない、梅干し自体の効果効能を広める情報発信をする機会も多くなってきました。
梅業界としてはおそらく最も後発になると思うのですが、おそらく最も高価な梅干しをつくっている、変わった事業部ではありますね。
「日本史上いちばん美味しい」という梅干しづくりの目標を掲げて活動しています。

仕事をしていてうれしい瞬間はありますか?

店頭販売に立ったときに、お客様から「美味しかったです」とお声をかけていただけることは、本当にうれしいです。当社の梅干しのファンを公言される方もいらっしゃって、手間暇をかけたかいがあったな、と。
お客様の反応などは、製造の現場にいるだけでは見えないことが多いですからね。リピーターのお客様から、「いつもこれを食べて元気をもらっています」と直接声をかけてもらうと、こういう人たちのために梅を作っているんだなと毎回実感できますし、モチベーションにも繋がるので、直接触れ合える時間は私にとって大切です。

「日本史上いちばん美味しい」という梅干しづくりの目標を掲げて活動している

仕事において大変だったことはありますか?

大変なことだらけですが…笑。梅製品の製造はほとんど全てが手仕事であることと、こだわりを追及して妥協ができない部分ですかね。余計なコストがかかる非効率な部分、普通なら切り捨てられる繊細な部分でも、最高の梅干しをつくるうえで必要なのであれば残すという判断をするため、時間がない中であれもこれもやらなければならないという大変さがあります。
そういう大変な時ほど、当社の梅干しを食べてくれているお客様の表情を思い浮かべながら、あの人たちにこの梅を届けるんだと奮起して、日々の仕事に向き合っています。

普通なら切り捨てられる部分、というお話がありましたが、他社と自社の梅のつくり方を比較されることはありますか?

私たちの梅干しは、一風変わった製法を採用しています。塩で漬けるのではなく、梅酢で漬けるんです。その製法は、その道50年の梅の師匠から教わっていますが、他に類を見ないものだと思いますね。ですから、一般的なつくり方を知らないと、自分たちの梅の強みやこだわりについて比較しようがないため、一般的な製法も折りに触れ勉強するようにしています。
とはいえ、比べるだけでは意味がありません。梅の文化だったり歴史だったりを知ることも大切ですよね。他社さんとの背比べではなくて、日本文化そのものを引き継いでいってるんだということを日々実感しています。ゆくゆくは、自分たちがこの梅干しをさらに若い世代に引き継いでいかなければいけないという責任も感じます。

梅干しを食べてくれているお客様の表情を思い浮かべながら、日々の仕事に向き合っている

仕事をしている上で大切にしていること・価値観について教えてください。

まず大前提として、食べものには「その人の気持ちや想いが入る」のだと考えています。どれだけよい材料を用意して、素晴らしいテクニックを用いて料理をしたとしても、肝心の心が乱れていては美味しいものになりません。
梅干しもおなじです。周りの人との関係性も含め、そのときの自分たちの心理状態が梅干しの味に影響を及ぼすと思っているので、イライラしたりモヤモヤしたり、そういう負の感情がある状態ではぜったいに梅は触らないようにしています。
だから、自分たちがどんな環境をつくってどんな状態でいるか、という部分はことさらに大切にしています。人との関係性であれば、ギクシャクしたときは一度手を止めて、どこに原因があるのかを考えたり、相手と話すようにしたり。仕事場の整理や掃除もそうですね。毎日が完璧ではなかったとしても、ベストを尽くしています。

東洋の梅部が乗り越えるべき壁は何だと思いますか?

梅の良さや文化が、若い世代になればなるほど知られていないなと感じています。この文化を今ここで残さないと、なくなってしまうのではないかという危機感があって。
ただ良いものをつくるだけでは駄目で、良いものをつくった上で、その魅力をしっかりと伝えていかないといけないし、どうやったら伝わるのかというところに真剣に向き合うことが必要です。
時代の波を越えるというか、日本の梅文化を再構築するくらいの覚悟で臨まないと残せないんだろうなと思うので、たくさんの人に届くような情報発信はひとつの壁だと考えています。

梅文化を再構築する覚悟で、梅の魅力を発信し継承していきたい

非効率やこだわりというお話がありましたが、商売としてはどんなバランスでやっていくのでしょうか?

重要なのは、商品の価値を正しく知ってもらい、それに見合った対価をもらうこと。そのためには、やはり商品の品質を高め、その魅力を知ってもらうことが必要だと思っています。
一切こだわらずに利益を追求するのか、それともこだわり抜いて利益を度外視するのか、どちらかに振り切るだけなら簡単ですが、だからこそ、そのド真ん中を狙っていくことが一番大事だと思います。難しいですけど。間をゆらゆら行き来することはあると思いますが、ド真ん中を見つけていきたいですね。

最後に、WEBサイトを見てくれている方へメッセージをお願いします。

一番にみなさんに知っていただきたいのは、梅干しがどれだけすごい食べ物かということです。たくさんの栄養素が詰まっていて、特に日本人の体に適した食べ物でもあるので、毎日1粒梅を食べるとことで健康的で豊かな人生になる。
私たちがつくっている梅は、味覚として美味しいのはもちろん、美味しい以上の価値をお届けすべく、食べたその先に日本人としての幸せを感じていただけるように、こだわり抜いてつくっています。
梅の全てを味わいつくしていただけたら幸いです。ぜひ一度ご賞味ください。

1日1粒の梅干しが人生を豊かにしてくれる

Profile
梅部部長
和歌山県日高郡みなべ町出身。
高校卒業後、梅を主とする地元の食品メーカーで5年間勤務した後、YouTubeチャンネル・ネットビジネスを興す。成功を収めるも、縁あって東洋の梅干しづくりを知り、2019年4月に入社。
2023年、梅部事業部長に就任。
趣味:珈琲を淹れること